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インドでサティシュとヴァンダナから学ぶ「ガンジーと3つの平和」③社会、自然と地球との平和
2024年11月に開催されたサティシュ・クマールとヴァンダナ・シヴァが講師を務めるコース「ガンジーと3つの平和」の参加レポ、第3弾に入ります!
今回は2つめと3つめの平和、「社会での平和」「自然と地球との平和」をまとめてご紹介。
相変わらず毎日盛りだくさんな内容で、ナブダーニャ農園でシュラムダーンと呼ばれる奉仕活動をしたり、サティシュと森の中を歩いたり、デラドゥンの街中にあるアシュラムも訪問しました!
「①企画の概要と1日目のイントロ」、「②内なる平和」の記事はこちらから:
11/20(水):午前中
朝の散歩と朝食のお手伝い、モーニングサークル
3回目の朝。すっかりお気に入りとなったこの場所で、朝の光と朝露にうっとり。そしてこの右写真のオブジェ、よく見たら説明書きがあった:
Dissolving Ego-system, 2024
harvest net, organic food, flora and organic threadsThe regenerative net was offered as a collaborative space for processing the emotions lived by the participants of A-Z Return to Earth course at Navdanya Biodiversity Farm. The purpose of this work was to bring hands, hearts and minds together, approaching the distance between our individual natures and visually expressing some of our inspirations during this time!
Having the farm as an open-air studio, the group had the chance to work with multiple elements collected during the experience – including harvested corn, leaves, flowers, wood and others. The process also included some natural dyeing experiments using turmeric and onion skins saved during meal preparation. The result was not the main goal, but the time to exchange some creative energy and deepen group connection.
This work is part of a study experienced by the artist through the healing process of reconnection with nature, sewing together metaphorical scars from any form of control such as the patriarchy. The net has become a form of support and care to resist violence against women.
「Dissolving Ego-system」とはつまり「エゴの消失」。よく「エゴ(ego)からエコ(eco)へ」とも言うように、エゴを手放すことで私たちはより平和へと近づけるとされている。
この作品はナブダーニャで開催されたと2024年の別コース参加者によって作られたもので、手と心と頭をつなげ自然と再びつながることで、さまざまな傷を癒やすプロセスになったようだ。
こうして畑周辺をゆっくり歩くことで、私の心もだいぶ回復!やはりずっと忙しない日々を送っていて、立ち止まって自分の内側と対話する時間がひたすら足りてなかった気がする。
ナブダーニャでのスケジュールはけっこう詰め詰めではあったものの、時間の流れ自体はゆっくりで、自分も自然の一部であると実感できるこの環境に感謝🌿
戻ると、キッチンでコロッケのようなものを作っているスタッフと参加者数名を発見!楽しそうだったし、これが終わらないと朝食が食べられないとわかり笑、私も少しお手伝いさせてもらった。
1人でもごはん作りは好きだけど、誰かと一緒に手を動かすのもとても楽しくて好き。ほんのちょっとでも関われることは嬉しいし、こういうのって忘れられない時間になるんだよね。
ってことで朝食が完成!相変わらず毎日、毎食、とっても美味しくて幸せ!(でもずっとお腹はやや不調……涙)
そしてその後のモーニングサークルでは、日本人グループ参加者の1人、ヒトミンが歌を披露!みんな大活躍です✨
1回目のシュラムダーン(奉仕活動)
このコースでは「シュラムダーン(shramdaan – the gift of labor)」と呼ばれる奉仕活動の時間も用意されている。
この日が最初の機会で、3つのグループに分かれ、私は一番肉体労働のポジションにたまたま配属された🤣
ひたすら藁を運んで、畑の上に乗せていくという作業!(土の乾燥を防ぐため)
やっていくうちにだんだんみんなコツを掴み、大量の藁をガバッと掴んで運ぶ人たちも!
途中から他のシュラムダーンをやっていた人たちも一部合流し、最後はみんなの藁の山の上へ!
いやぁ、楽しかった!!みんないい顔してる✨
サティシュのセッション「社会での平和」
午前中はサティシュによる「Peace in Society 社会での平和」のセッション。自分自身との平和が土台だとして、他者とはどのように関わり、つながり、社会全体の平和を作っていけばいいのだろう?
まずはサティシュの最新刊『ラディカルラブ』にも登場する、愛の定義について。
①Moderate love
It means expecting the other to love you back. And you love people who sympathize with you, you agree with.
モデレートラブ
相手が自分のことも愛してくれると期待する愛。そして自分に同情したり同意してくれる人を愛すること。
②Radical love
Love without any expectation. Even if the other person doesn’t love you back. Unconditional, unjudgemental. Love comes before anything.ラディカルラブ
一切の期待をせずに愛すること。もし相手が自分のことを愛してくれなくても。無条件、無批判。愛がまず最初に来る。
サティシュは、とにかくまず「愛」から始めること。そのあとに「真実」がやってくると言う。というのも、真実は人によってちがう多様なもので、明日には変わるかもしれないから。
また、「科学」は測ることができるものしか存在しないとするが(左脳)、「愛」「直感」「創造性」などは測ることができない(右脳)。
学校では左脳に関わることばかりを教わり、社会に出ても左脳中心の働き方を強いられ、私たちの多くは右脳をどこかに置いてきてしまっているのだろう。
Love is the solution to all our problems.
私たちのあらゆる問題を解決するのが愛。Our society is centered in ego. We need to shift from ego to eco! Ego is separation.
私たちの社会はエゴ中心になっている。私たちはエゴからエコにシフトする必要がある!エゴとは分離だから。
Peace takes courage.
There is no cause good enough to kill anyone.
平和には勇気が必要。
誰かを殺すことが正当化されるような動機は存在しない。
Just be an artist, and that’s all you need to do.
ただアーティストでありなさい。あなたがする必要のあることはそれだけ。
“I am a happy activist!”
Power of love is bigger than the power of anger, fear, hatred.
Move from anger towards love.
「私は幸せなアクティビストだ!」
怒り、恐れ、嫌悪の力よりも、愛の力のほうが大きい。
怒りから離れ、愛に向かいなさい。
再びサティシュ節が炸裂!
長年一般社会の規範や常識から外れ、側から見ると謎の生き方や働き方をしてきた者*としては、サティシュの言葉はソッと優しく包み込んでくれる温かさに溢れている。
こんな風に勇気づけてくれる大人が周りにいたら、どれだけ子どもたちはのびのびと、自分を否定せずに育つことができるだろう!
私はそういう存在でありたいなと改めて思う。
(*補足:つまり、一つの会社に長く勤めることを拒絶し、20代からずっと個人事業主として複数の仕事をし、結婚して子どももいるけど離婚し、40代で家を手放して旅人をしている😆)
What can I do now?
Everyday you can do something to change the world. Be in the present and just take small actions!今何が私にできる?
毎日世界を変えるためにあなたは何かができる。今を生き、小さな行動を起こそう!
Be yourself, and live life as it comes.
Drop all expectations. Expect life as it is.
あなた自身でありなさい、そしてやってくるように人生を生きなさい。
期待を捨て、ありのままの人生を受け入れなさい。
You can move away from your enemy or someone who is attacking you. That is protecting yourself.
Hatred is to attack back.
あなたの敵やあなたを攻撃する人からは離れてもいい。それはあなた自身を守ることだから。
憎しみとは、攻撃し返すこと。
他者との平和について考えるとき、苦手だったり嫌いな相手、敵対している人との関係性をどうしたらいいのか?という疑問を抱く。
そして多くの場合、自分の気持ちを抑えて自己を犠牲にするか、相手を攻撃するというコミュニケーション方法に陥りがち。(NVC/非暴力コミュニケーションでいうところの「ジャッカル」)
そうではなく、自分を守るために相手から離れるという選択肢もある。これは生きる術としてとても重要なのでは?
11/20(水):午後
Sylvanhues by Shramのハンドクラフト
ランチのときに地元の女性アーティストたちによるハンドクラフトの出店があり、このカラフルさにときめいてどうしたって何か買わずにはいられなかった😆
普段から「地産地消」「友産友消」を意識しているけど、旅先でもその土地を訪れた記念に地元の人が手作りした何かを買って帰るのが好き。(というより、どうしても買いたいなら極力その選択をする)
そこには作ってくれた人たちのストーリーがあり、それに思いを馳せることで遠くの国々や地域も身近に感じられる。彼らの暮らしをサポートすることにもなる。
ぜひ買い物は最低限に、そしてするならエシカルに!
- 彼女たちのInstagram:https://www.instagram.com/sylvanhues_by_shram
サティシュとフォレストウォーク
午後のセッションはサティシュと行くフォレストウォーク。なんとナブダーニャのすぐ横に、こんな森があったとは!
背の高い木々はサラソウジュ (Sal tree)で、ブッダはこの木の下で生まれたのだそう!(ブッダの母が枝に掴まって産み落としたという……)
この森の木々がやたらとヒョロっとして枝が短いのは、地元の方々が枝をカットして薪として利用しているかららしい。
そして葉が大きい木はチーク(teak tree)。家具によく使われるそう。
このときは乾季だったから石ころだけど、雨季になると川になる場所。
参加者による焚き火、『ラディカル・ラブ』の上映会
最後の夜に焚き火パーティーが予定されていたものの、前のめりで焚き火したい参加者たちがいたようで笑
夕飯の前に自主的に開催され、気づけばたくさん火の周りにみんな集まった。
そして夕飯後には、サティシュの映画『ラディカル・ラブ』が上映!これはその予告編で、見返しているだけでも涙が出てくる……
サティシュはしきりに「愛」について語る。というよりも、もはやそれ以外のことは語っていないのではないか?というくらいに。
それをこの予告でも話しているように、多くの人は彼を「理想主義者」と呼ぶだろうし、実はこのコース参加者の多くも途中から疑問を感じることがあった。
だって「愛」だけで世界を変えられる??現実的に、具体的に、行動を起こしていなかければ何も変わらないのでは?
(そういったみんなの疑問やモヤモヤは、コース後半にレクチャーしてくれたアプルーヴァナンダ教授によってだいぶ払拭された)
でもコース参加からもうすぐ1ヶ月が経つ今思うのは、こうやってひたすら「愛」について語り、「愛」の道を歩み続けてきた存在の偉大さ・尊さは計り知れないということ。
やはりサティシュに会いに行けて、彼とともに時間を過ごせたことは本当に豊かだった✨
映画の中で響いた一言をご紹介:
Know your limit, and do your best.
自分の限界を知り、最善を尽くそう。
11/21(木):午前
サティシュから参加証の授与
4日目。なんとこの日がサティシュとの最後のセッション!いつの間にかコースも折り返しに入り、終わりに近づいていた。
というわけで、コース自体はまだ終わっていないけど、ここで先駆けてサティシュが参加証(と呼ぶのか?)を一人一人に授与してくれた。
ツーショット写真は、ナブダーニャスタッフが1人ずつ撮影し、あとで共有してくれた。
背後にサティシュを入れて撮影😆アイドルのような存在だよね、サティシュは……
サティシュのラストセッション「自然と地球との平和」
授与式のあとは大半の参加者とともにバスに乗り、デラドゥンの街中にあるオーロビンドアシュラム(Aurobindo Ashram)へ。
こんな素敵な屋外空間で、サティシュによる最後のセッション「Peace with Nature and the Earth 自然と地球との平和」が行われた。
実はコース参加者以外にも、どんな方々か不明だけどエレガントなインド人たち(笑)がたくさん参加。
Ecos=planet home
Economy=management of the eco system
Natal (nature)=everything that is born
「エコス」とは、故郷の惑星の意。
「エコノミー」とは、エコシステムの管理の意。
「ナタル(ネイチャー)」とは、生まれるすべてのもの意。
If we exploit nature, we do that to ourselves.
If you are destroying nature, you are destroying yourself.
もし私たちが自然を搾取するなら、それは自分たちを搾取しているということ。
もし私たちが自然を破壊するなら、それは自分自身を破壊しているということ。
Nature comes first. Nature is our teacher. (Nature is not a resource!)
自然が最初にくる。自然は私たちの先生である。(自然は資源ではない!)
Cosmos is my country, and the whole planet is my home.
All living beings are part of my family.
コスモスが私の国であり、この地球全体が私の家である。
すべての生き物が私の家族だ。
私は途中から意識が朦朧としてきそうなくらいの強い日差しだったにも関わらず、サティシュは勢いを失わず、ずっと参加者たちに熱く語り続けていた。
彼の情熱と体力、エネルギーは本当に凄まじいものがあり、88歳とは到底思えない!
Peace brings you freedom, joy, happiness, ananda(bliss, divine joy).
平和はあなたに自由、喜び、幸せ、アナンダ(至福)をもたらす。
Do no harm with love, because love can be powerful and strong or harmful. Learn the art of living.
愛はときにパワフルで、強く、有害にもなりうるから、愛でもって人を傷つけないように。生き方のアートを学びなさい。
All humans are potentially courageous. But we are told that we are not good enough from parents and teachers so on, and we become weak.
人はみな潜在的に勇気がある。でも親や先生から私たちは十分でないと聞かされ、弱くなっていく。
愛の扱いには気をつける必要がある、という助言があったように、そもそも愛について、愛することについて学ばないといけないよね。
またサティシュは、自然に危害を与えていないビジネスとしてボディショップとパタゴニアを挙げていた。
ビジネスにおいても、エコノミーとエコロジーはともに働かなければいけない。本来、それ以外あり得ないのに。
ランチタイム。謎の他の参加者の方々の一部がサーブしてくれた!ナブダーニャとはまたちがった美味しさ😋
昼食後、私たち日本人グループからサティシュへギフトの贈呈。
参加者の1人、きいちゃんが「サティシュにメッセージを送りたい」と声をあげてくれたことがきっかけで、こんなに素敵なアートが完成!みんなのクリエイティビティが素晴らしいです✨
11/22(木):午後
デラドゥンの街でのフリータイムはカフェへ
ランチのあとは確か3時間近くフリータイムがあり、参加者はそれぞれ買い物に出かけたり、散歩やカフェに行ったりして思い思いに過ごした。
私はもちろん、隙あらばカフェへ!笑
アシュラムのすぐ近くにあった「Cafe De Piccolo」へ。
かわいいお店!そしてコーヒーは北インドからのスペシャルティコーヒーだったようで、とても美味しかった!
ここで確かスタッフ仲間の海くんと軽くミーティングしつつ、一緒に行った参加者とずっとダラダラ過ごした。(毎日多くの人に出会い、過ごし、レクチャーを受け、すぐにキャパオーバーになりかける笑)
アシュラムに戻る途中で見た風景。このエリアは高級住宅街なのか、全体的にきれいでゆったりしていて、カフェやレストランも多かった。
参加者の何人かは布屋さんに行き、素敵な布を調達していた!買い物も楽しめて何より😄
そしてアシュラムに戻ると、帰ったと思ったサティシュがまだいた!今度こそ本当のお別れをする。
(空港に向かう車に乗ったサティシュが私たちに手を振ってくれた姿は、まるで日本の天皇のようだなと笑 最初から最後までみんなに笑顔で対応してくれ、本当にありがとう!)
予告:次回は「Gandhi and Peace ガンジーと平和」
こうしてあっという間にサティシュとの日々は終了。
とは言え、4日間もサティシュのレクチャーを受けつつ、一緒にごはんを食べ、散歩し、ときには質問してディープな会話を楽しみ…… と、ともに暮らせたのは素晴らしい機会だった!
それが今回のナブダーニャ農園でのコース「ガンジーと3つの平和」の醍醐味であり、私はスタッフでありながらも、いち参加者として参加できて本当に良かったと思う。
サティシュとの時間で感じたこと、受け取ったものは、参加者それぞれでちがうと思うけど、ここでは私自身の体験をシェアさせてもらいました😄
次回は最終回。アプルーヴァナンダ教授による「Gandhi and Peace ガンジーと平和」をご紹介します!